ジプシーの娘パキータとフランス将校リュシアンの恋の物語

パキータ Paquita
レオン・ミンクス(Ludwig Minkus/1826—1917)

初演は1846年4月1日にパリの帝室音楽アカデミー(現在のオペラ座) で行われた。

 オリジナルの台本はジョセフ・マジリエ(Joseph Mazilier/1808-1868)。音楽は、エドゥアール・デルデヴェズ(Edouard Deldevez/1817-1897)。1881年にはレオン・ミンクスによって新たな音楽がつけられた。

ナポレオン軍占領下のスペインで、ジプシーの娘パキータがフランス軍将校リュシアンを陰謀から救う恋物語である。民族色あふれるスペイン風の踊り、ジプシーの踊りが見せ場の一つとなっている。
若きマリウス・プティパがロシアで初めて演出を手がけた作品としても知られており、今日ではプティパ版の抜粋(音楽はL・ミンクス)が1幕の作品として上演されることが多い。


第1幕
サラゴサ郊外の谷間で、デルヴィリ将軍と息子のリュシアン、総督ロペス、ロペスの妹セラフィナらが集まっている。戦役で権力者となったデルヴィリ伯爵は、息子を総督の妹と縁組させようとしているが、リュシアンは愛情を感じないセラフィナとの結婚には気乗りしない。ロペスもまた自国に攻め込んできたフランス人どもを心密かに憎んでいた。
このときイニゴの率いるジプシーの一団が山から下ってきた。この中にジプシーらしからぬ雰囲気のパキータがいる。リュシアンは彼女に惹きつけられる。イニゴも以前からパキータに好意を抱いていたので、リュシアンに対して激しく嫉妬する。2人は衝突しそうになるが、総督のとりなしで何とかその場は収まった。
イニゴがリュシアンに敵意を抱いていることを見てとった総督ロペスは、イニゴを雇ってリュシアンを暗殺することを思いつく。

第2幕
第1場
ジプシーの住居の中。パキータは昼間出会った将校リュシアンのことが忘れられず思い悩んでいる。そこに仮面をつけたロペスと、イニゴが現れた。リュシアン暗殺が計画されていることを知ったパキータは慄然とし、何とかこれを阻止したいと考える。
やがてリュシアンがやってきた。食事と共に毒酒を供されるが、パキータが何とか飲ますまいとする。リュシアンも様子がおかしいことに気付く。パキータは一瞬の隙をついて杯を入れ替え、イニゴはそれを飲んで倒れこんでしまった。
第2場
サラゴサのフランス軍司令官邸。デルヴィリ将軍と、総督ロペスらを囲んで舞踏会が行われている。リュシアンの姿が見当たらないので不安に思っていた矢先、本人がパキータを連れて現れた。リュシアンは襲撃を危うく免れたことを話し、自分を救ったパキータを紹介する。その場でリュシアンは求婚するが、身分の違いからパキータはそれを拒んでいる。このときパキータは総督ロペスを見て、それが仮面をつけてイニゴとともにやってきた男だと見破った。悪事が露見したロペスは連行され、ようやく危機は去った。
それでもパキータは幸福につながるとは思っていない。しかし舞踏の間に掲げられている肖像画を見るや、自分の胸に下げているメダイヨンの絵と同じであることに気付く。彼女は行方不明となっていたデルヴィリ将軍の亡き弟の娘であった。晴れて家族として受け入れられ、喜びの中に祝いの舞踏会が始まる。


ラコットによる復元版

2001年1月、パリ・オペラ座のピエール・ラコットにより、永らく演じられなかった1881年版の全曲上演が行われた。
マジリエの原振付が今日まで正確に伝わっていないため、プティパによる追加部分以外はラコットが新たに振付けて2幕構成に復元した。オペラ座のレパートリーに加えられ、その後も繰り返し再演されている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/パキータ