岸を離れる日

いつかの秋、この歌を何度聴いたことだろう。

イギリスへの留学準備に追われながらも、果たして無事に学位を取れるだろうかという不安。

この歌は、その時の心境に何物にも勝る強さで寄り添い、励ましてくれた。


胸の奥に抱えたどうしようもない哀しみと寂しささえ、この歌が、手嶌葵さんの透明な声が、代弁してくれているようだった。



あれからもう二年が過ぎようとしている。

私はいま、イギリスではなくフランスにいて、思いがけずフランス語の勉強をしている。

そんな人生の不思議を感じるときも、彼女の声は変わらずやさしい。

春の歌集

春の歌集