フェリックス

今朝、目を覚ますと庭にフェリックスがいた。

置物のように微動だにしない彼。

しかしそこは人懐っこい彼。

ひとたび名前を呼ぶと窓を見上げ、そこを目指して塀をよじ上ってきてくれる。

猫も犬も飼い主によって随分違うんだなあと実感する。

可愛がられている猫はどんなときでもたいてい人懐っこく寄ってくるけれど、そうでないのはどんなときも悲しいくらい警戒を解けない。

思い出すのはキムという黒猫だ。もうおじいちゃんのようだけれど、餌さえ満足にもらっていないのかいつも必死の形相で猫缶を平らげる。二缶たいらげることも。

大きな犬がいて家に寄りつきづらいらしいと人づてに聞く。

猫の猫生も様々だ。

静かな秋の一日。

友達が到着するまでフランス語でもやろうかな。

[ルーブル美術館の陳列ケースから]